「マッシブホルツは次世代基幹建材になり得るか」 |
近年、気候変動がいよいよ顕在化してきたのではないかと懸念されます。今後は温暖化対策として、ゼロエネルギー建築やプラスエナジー建築などの環境建築が急速に普及するだろうと予想されます。しかし、たとえプラスエナジー建築であっても、建設時には多量の温室効果ガスを発生させるため、温暖化対策が短期的には温暖化を促進することになりかねません。しかし唯一木造建築だけが、建築内部に二酸化炭素を固定し、材料となる樹木の伐採後に植林された若木が二酸化炭素を吸収するという形で、地球の炭素循環にモラトリアムを作り出し、環境への負荷が少ない温暖化対策を行える特性をもっています。その中でも特に多くの二酸化炭素を固定するマッシブホルツは、高い耐久性や耐火性などを生かして高層化が進むなど、コンクリートや鉄骨の代替となる基幹建材としての可能性を強く感じさせます。今回のセミナーでは、世界のマッシブホルツの最新の状況を知ると共に、日本におけるマッシブホルツの可能性について多角的に議論したいと思います。
講師プロフィール
網野 貞昭
法政大学デザイン工学部建築学科教授。工学博士。静岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業、東京大学大学院修士課程修了。1996年に渡欧し、スイス連邦工科大学にて木造建築分野の博士号を取得。同校アシスタント、ウィーン工科大学アシスタント・プロフェッサーを経て、2010年から現職。オーストリア・シュバイクホッファー賞受賞。
腰原 幹雄
東京大学生産技術研究所・教授。工学博士。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院博士課程修了。構造設計集団<SDG>勤務、東京大学大学院助手、生産技術研究所准教授を経て、2012年 より現職。NPO team Timberize理事長。著書に、「都市木造のヴィジョンと技術」(オーム社)、構造設計作品として、下馬の集合住宅、幕張メッセペデストリアンブリッジ、八幡浜市立日土小学校耐震改修、油津運河夢見橋、金沢エムビルなどがある。都市住宅学会業績賞、World Monuments Fund/Knoll Modernism Prize、日本建築学会賞(業績)、土木学会デザイン賞最優秀賞、木の建築賞、木の建築大賞など受賞。
パネリストプロフィール
西方 里見
建築家。(有)西方設計代表取締役。室蘭工業大学建築工学科卒業。青野環境設計研究所を経て西方設計設立。JIA環境建築賞、国土交通大臣賞など受賞多数。環境建築に関する著書多数。東北を拠点に日本の環境建築をけん引する建築家。
マテ― ペーター
自然のすまい株式会社代表取締役。ウィーン大学卒業、同大大学院修了。オーストリア出身、来日してバウビオロギーの考えに従った超高断熱住宅(構造はマッシブホルツ)を建設する施工者となる。諏訪湖浄化運動、環境保護運動などに参加。
小杉 栄次郎 :
秋田公立美術大学准教授。建築家。東京大学工学部建築学科卒業。磯崎新アトリエを経て株式会社KUS設立。NPO法人team Timberize 副理事長。2013年より現職。木造耐火5階建ての共同住宅を実現させるなど、木造の可能性に挑戦する建築家。
白江龍三
環境建築家。日本大学理工学部卒業、同大大学院修了。日本設計、SDCを経て白江建築研究所設立。前橋工科大学大学院非常勤講師。日本建築学会賞作品賞、免震構造協会賞作品賞、JIA環境建築賞など受賞。JIA環境会議環境行動ラボ所属。
会場:東京都江東区新木場一丁目7番22号 新木場タワー 1階ホール